ゲーム

『Transistor』朧げで美しい世界

トレイラー見てビジュアルと音楽にグッときた。追い打ちのように友達におすすめされたので購入。同じようにトレイラー見てこれは!と思ったらおすすめ。

謎の剣トランジスターを引き抜き、トランジスターと共に未来風の都市クラウドバンクを舞台に謎を追うアクション+ストラテジーRPGゲームだ。ゲームとしてのおもしろさは「並」なので、あまり期待しないように。

音楽、サウンド、アートワークとUIデザイン含めて、解釈の余地がたくさんある朧気なSFストーリーと世界観にマッチしている点が非常に素晴らしい。

ゲームデザイン

ゲーム性は「ターン()」という能力をを駆使して戦うのがユニークだ。ターン()を使うと無制限に時間が停止して、そこで行動を予約しておいてあとで高速で再生する仕組み。ターン()中の行動はコストがあってやりたい放題できるわけではない。ターン()自体にクールダウンがあるのでこちらも使いどころを探って発動する必要がある。

プレイヤーのアクションスキルが活かしにくいため、実質的にはストラテジーゲームになってる。見た目はハクスラっぽいが全然違う。

ファンクションと呼ばれるスキルをレベルアップで選べる。ファンクション一つでアクティブ、パッシブ、アップグレードのどれかにスロットをはめるかで効果が変わる。組み合わせパターンは多いので、スキルビルドも楽しみの一つだ。

私はロードをパッシブに入れて定期的に爆破セル生成して、クラッシュにゲット付けて引き寄せ敵もろとも爆破するのが好きだ。背後取ると奇襲扱いでダメージ増えたり、クラッシュ起点にするとコンボになったりする要素もある。

リミッターという縛りプレイ要素がある。これを使うと敵が強くなったり、自分に制限がかかる代わりにもらえる経験値があがる。引き返せない&固定エンカウントなので、先取りしてレベルアップできるメリットがある。ただし、制限のわりにあんまり経験値アップがおいしくない。攻略には全くなくても使わなくてもOKだ。

没入感の高さ

ゲームを起動するといきなりオープンニングはじまる。セーブもロードもない没入感高い作りになっている。チュートリアルもほとんど無い。謎が多い世界観と相まって最初はとっつきにくい印象がある。けれども、分かってくると楽しくなってくる。

エフェクトがきれいで、効果音やヒット時にちゃんとカメラシェイクあるのできれいに決まると爽快感がある。

Tabキーで鼻歌を歌う。BGMにあわせて歌うのでずっと聞いていたくなる。

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一周のボリュームは8時間ぐらいだ。

私はプレイ密度を重視してるのでこれぐらいが飽きなくて、ちょうどよいボリュームである。2週目はレベル引き継ぎ、敵が強くなるので戦闘は二周目のほうが楽しい。

 

ここから先はネタバレあり

ストーリーや世界観の解釈

Transistor=transfer(伝達・転送)+ Resistor(抵抗)

造語。デジタル回路で使うトランジスタのこともかけている。おそらくは人をトレースする機能がtransferで、プロセスの制御がResistor。

カメラータ

Camerata de’ Bardiが元ネタのようだ。ウィキペディアで見ると”16世紀後半のフィレンツェの人文主義者や音楽家、詩人、その他の知識人が、ジョヴァンニ・デ・バルディ伯爵の邸宅に集って結成した音楽サークルの名称を指す。この参加者の議論によって、「古代ギリシャ音楽」の復興、ひいてはオペラの創出が目論まれた。”

カメラータの構成員は上流階級(立場的に強い影響力持つ)で、プロセスが街の裏方を担ってたことを考えると裏の政府とも言える。

ロイスは投票での決定(非常に民主的)で街がコロコロ変わることには嫌気が差していた。もっとちゃんと作品を残したいと思っていたのだ。それでカメラータを結成する計画を密かに進めていたと思われる。
→芸術の革命。民主的なのは大衆迎合(ポピュリズム)を招き、芸術性の追求をしたい人には不都合。

シビルのレッド襲撃自体はおそらく私情によるものだ。はじめから恋人を狙ってた気もする。グラントとアッシャーは多分兄弟ではない。

クラウドバンク自体は芸術にあふれる街で服飾、大道芸、音楽、アートなどが盛んな様子。

ファンクション化のターゲットは芸術家に多い。重要な能力持ちか知ってしまった人が狙われる模様である。

The Country

アッシャー・ケンドレルの死ぬ間際の「カントリーで会おう。」とかクラウドバンクを離れるときに言う「for the Country」というセリフで度々出てくる。ロイスが言うのにはクラウドバンクの住人はカントリーに行きたいと願う。しかし、二度とは戻れないらしい。カントリーってなんだ。

エンドロールはまさにカントリーそのものだ。小麦畑に澄み切った丘に小屋。プロセスの世界ではない。

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恋人が着てるコートはゲーム中にずっとレッドが着てる。切ない…

後ろの小屋が同じ。

lastbattle

トランジスター内=カントリー=最終面?

それとも死後の世界がカントリー?

最終面にある金属容器みたいなボックス=トレースバンクなるものがあって、トランジスターに取り込まれた人はすべてここに保管してあるようだ。

ターン()するとトレースバンクは文字通りのトランジスタっぽい形状でこのフィールドがシリコン基板に見えてくる。

クラウドバンク自体が現実ではないデジタルの世界なのか。もしくはカントリーのほうがが幻想なのか。

トランジスターを使いこなせばクラウドバンクのものはなんでも作り変えることができるけども、恋人は復元できない?どうやら、プロセスで構成されたものでしか作り替えられないようだ。

エンディング

どちらか幻想かは置いておいて、最終面で恋人が喋らないのは恐らくあのフィールド上ではトレースバンクに入ってるからだ。ロイスとレッドだけがトレースバンクに入ってない生存者になる。

最後にレッド自身が自害しようとするのを恋人が拒むのはトレースバンクになることを理解してるからだと思う。エンドロールは実体ではなくて、トランジスターの回路として一緒になったので一緒に見てる幻想だと思った。

それでも、そばにいたかった。

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一方通行ってつらい。

トランジスター(恋人)は身体がないけど喋れる。レッドは喋れないけど身体はある。口説いたりしてくるが反応がないのでトランジスターとてつらいのだ。

本当は抱き合えたらな、会話ができたらな、っていうのが出来ない。

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それでも昔を思い出したようなデートを楽しんだり…。レッドがいい表情してる。朧げでせつなく美しい話だった。