Blender2.92の正式版が2/26にリリースされました。この記事では新機能の使い方や解説をしています。
Blender2.92の新機能
ジオメトリノード
今回の目玉機能です。ノードベースの非破壊のプロシージャルモデリングができるようになります。まだ実装初期のため、地面に植物や小石の散布を想定しているようです。
モディファイアーにジオメトリノード、エディタータイプにジオメトリノードエディター(Geometry Node Editor)が追加されます。
使い方はジオメトリノードのサンプルファイルをダウンロードして色々弄ってみるのが参考になります。下記のサンプルだとウェイトペイントで密度のコントロールができます。
エクスポート時にBlender内では元オブジェクトを維持したまま、自動的に結合させる使い方もできます。↓
早速ジオメトリノード使ってみたけど、ジオメトリ統合を維持してFBX出力できた。頭と体とか、後ろ髪前髪とかパーツ統合せずに編集してそのまま出力可能になったよ!ありがとうBlednder🥺 pic.twitter.com/OSMS07aGPs
— mio (@mio3io) February 26, 2021
プリミティブの追加ツール
ツールバーに「プリミティブの追加」が新たに加わりました。オブジェクトモードでも編集モードでも使えます。
ドラッグ→確定の2クリックでプリミティブ(立方体などの基本的な形状)を簡単に追加ができます。背景やプロトタイプモデル、スカルプトのベース作りに便利そうですね。
モディファイアーの一括コピー
モディファイアーをコピーして他の選択オブジェクトに追加できるようになりました。
モディファイアーのコピー方法
コピーしたいオブジェクトを選択→最後にコピー元のモディファイアーのあるオブジェクトを選択→モディファイアーの三角のドロップダウンメニューから「選択にコピー」をクリック。
スカルプトのマルチレゾディスプレイスメントスメア
スメア(指先ツール)での編集でポリゴンを引っ張ってもトポロジーが破綻しにくい編集ができます。マルチレゾリューションモディファイアーで再分割後に、通常のスカルプトを行い、マルチレゾディスプレイスメントスメアブラシで使用可能になります。
スカルプトのグラブのシルエット保持オプション
グラブブラシにシルエットを保持するオプションが付きました。グラブで動かしても片側しか影響しません。薄い/細い形状に便利です。
使い方:ツール→ブラシ設定→「シルエットをグラブ」を有効にします。
グリースペンシルの中割自動補完の改善
グリースペンシルの自動補完機能が改善されました。異なるサイズのラインだと破綻しやすかったんですが、それがなめらかに繋がります。かなり実用レベルになったかと思います。
グリースペンシルのカーブ編集
グリースペンシルをベジェ曲線で編集できるようになりました。
パフォーマンスの向上
- ジオメトリをマルチスレッドでエクスポートすることで、メッシュ、ヘア、ボリュームオブジェクトが多数存在する場合のシーン同期のパフォーマンスを向上させます。
- OptixでCPUやGPUデバイスとのハイブリッドレンダリングに対応。
- Sparse NanoVDBグリッドに対応してボリュームレンダリングのメモリ効率が大幅に向上しました。結果はボリューム形状に大きく依存します。1つのボリュームアセットのメモリ使用量を3倍に削減しましたが、その代償としてレンダリング時間が10%長くなります。
オイラーフィルターの改善
アニメーション機能の不連続性(オイラー)フィルターが改善されました。不連続性(オイラー)フィルターはジンバルロックなどによってアニメーションが飛んだり(ジャンプ)したり反転(フリップ)したりする現象を修正できます。
新しい不連続性フィルターは個々のX/Y/Zチャンネルだけではなく、全体としてのオイラーX/Y/Z回転チャンネルに対してアクションを実行します。これにより、より広範囲の不連続性を修正できるようになりました。
EeveeでのCryptomatte対応
IDマスク自動作成ツールのCryptomatteがEeveeでサポートされました。コンポジット作業が楽になります。Cyclesではひと足先に2.8の段階で対応済みで、今回アップデートでEeveeとCyclesとで設定共有が可能になりました。
EeveeでのAOV出力の対応
EeveeでAOV出力(Arbitrary Output Variable)に対応しました。任意の要素ごとの画像に分けて出力できます。これもCyclesと設定共有ができます。
液体シミュレーションにAPIC方式が追加
APICはダイナミックかつより安定的なシミュレーションが可能です。従来のFLIPはしぶきがよく出ます。
コリジョンのトグルボタン追加
コリジョンの有効/無効を切り替えるボタンが追加されました。物理演算プロパティ→利用可能な物理演算→コリジョンにあります。
ベイクの出力先に頂点カラーが追加
ベイクの出力先に頂点カラーが追加されました。UVやテクスチャを保持する必要がないので、プロシージャルシェーディングやスカルプトモデルのペイントに便利そうです。
使い方:
- ベイクしたいモデルを選択し、オブジェクトデータプロパティ→頂点カラーの+ボタンを押し、頂点カラーを追加します。
- レンダーエンジンをCyclesにします。(でないとベイクの項目が出ない)
- レンダープロパティ→ベイク→出力先→ターゲットのプルダウンから「頂点カラー」を選びます。
その他
- OptixでAOシェーダノードとベベルシェーダノードをサポート。
- ロックされたウェイトで自動正規化した場合に非常に小さな値が生成されないように変更。
- コンポジターで露出の補正が可能に。
- ベベルモディファイアーの制限方法のデフォルト設定が「角度」に変更。
などなど、100以上の機能の追加や修正があります。