Blender2.91の正式版が11/26にリリースされました。長期サポート版である2.83の更新と違って、2.91は新機能がたくさんあります。Blenderの新機能を5分程度で掴めます。
Blender2.91の注意点
非アクティブオブジェクトが薄く表示される
デフォルトでアクティブ以外のオブジェクトがフェードします。以前の表示に戻したい場合は、ビューポートオーバーレイから「非アクティブ形状のフェード」をオフにする。

アニメーションのFカーブの仕様変更
アニメーションのFカーブによりメリハリが付きます。自動的に適用されるので、2.91以前のデータではアニメーションに違いが発生します。

UVエディターの表示設定位置の変更
UVエディターでのオーバーレイ表示設定が右上に設置されました。3Dビューポートと統一されて分かりやすく、オン/オフしやすくなりました。以前はプロパティウィンドウ(Nキー)→ビューにあった内容がこちらに移動しています。ここから設定できるUVの歪みを表示できる「ストレッチ表示」はとても便利なので覚えておきましょう。

ミラー機能の共通化
3Dビュー右上にミラー機能が表示されます。これは編集モード、スカルプト、テクスチャペイント、頂点ペイント、ウエイトペイント、すべて共通となっています。テクスチャペイントでミラーを外すと他の機能でのミラーもすべて解除されます。

2.90で日本語表示でも一部英語表示だった状態の修正
2.90のときは日本語UI設定でも一部が英語のままでした。2.91では修正され、ほとんどの部分が日本語表示になります。
新機能
アウトライナーの改善
コレクションの色分け、モディファイア・コンストレイントのドラッグアンドドロップでのコピー、コレクション範囲の線表示でより直感的になりました。

コレクションの色分け方法
コレクションを右クリックしてメニュー下部に色を選んでください。

ブーリアンの改善
従来のブーリアンに比べて、エラーが少なく正確に計算されるようになりました。その代わり速度が落ちます。

計算方法を従来通りにする場合はブーリアンモディファイアーのソルバーを「高速」にしてください。

カーブのベベルカスタムシェイプ設定
カーブのベベル部分をベベルモディファイアなどと同じくカスタムシェイプ編集できるようになりました。チュロスでもクリームでも簡単に作れます。カーブで髪の房作るのにも便利です。
カーブのベベルカスタムシェイプの使い方
「オブジェクトデータプロパティ」→「ジオメトリ」→「ベベル」→「断面」を選びます。深度を設定してから、下にあるカスタムシェイプのカーブを編集します。

スカルプトの強化
トリム機能
スカルプトモードにトリムが追加されました。囲った部分をカットしたり追加したりできます。ツールのハサミから使用可能です。
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トリムモードの種類
- 差分:囲った部分をカット
- 合成:囲った部分に追加してくっつける
- 統合:囲った部分に分離状態で追加
差分と合成はブール演算する関係で動作が重いですが、統合は軽快なのでラフなシルエットの作成に便利です。
クロスでのコリジョン有効化
クロスブラシ、クロスフィルターでのシミュレーションでコリジョンが有効にできます。サイドバー→ツール→「コリジョンの使用」にチェックを入れてください。
クロスにソフトボディの硬さ設定が追加
クロスブラシにブラシ設定にソフトボディの硬さが追加されました。数値が高いほど、元の形状が維持されます。
その他のスカルプト機能の追加
- XYZミラーはメッシュ単位に変更
- 形状に関わるモディファイアがアクティブの状態でもフェイスセットとマスクが描けるように
- 任意のマルチレゾリューションレベルでのスカルプト
- メッシュフィルターに「シャープ化」を追加
- メッシュフィルターに「ディスプレイスメントの削除」を追加
- クロスフィルターにスケールを追加
- フィルターに座標軸の設定を追加
- スムースのマイナス方向はディテールの強調に
- フィルタにグローバルオートマスキング設定のサポートを追加
- 「面セットを抽出」機能の追加。選択中の面セットから新規オブジェクトの作成。
- 面セット編集ツールの追加。面セットの範囲の拡大や縮小ができる。
- 正面のみをマスクするオプションの追加
- ポーズブラシスケールの変形で回転をロックするオプションの追加
マテリアルプレビュー時のHDR固定
3Dビューのシェーディングがマテリアルプレビューのとき、HDRの回転固定オプションが追加されました。カメラで光源が回転しないのでEEVEEマテリアルをMatcap的に使えます。スカルプト時に便利です。

メッシュのボリューム化、ボリュームのメッシュ化モディファイア
モディファイアを使って簡単にメッシュからボリュームを作成できます。またボリュームからメッシュを作成することもできます。後者はアニメ(NPR)表現のエフェクトに便利だと思います。
プロパティ検索
プロパティウィンドウの上部に検索が付きました。英語名でも検索可能です。

キーフレームを追加してもカーブが歪まない
アニメーションのFカーブの途中でキーフレームを挿入しても元のカーブ形状が保たれます。2.91以前の場合は画像の通りカーブが歪んでしまって修正が必要でした。

画像のトレス
画像をグリースペンシルオブジェクトにトレスできます。
画像をドラッグアンドドロップで追加し、オブジェクトモードでトレスしたいオブジェクトを選択しオブジェクト→「画像をグリースペンシルにトレス」をクリックします。


その他の機能追加
- チェーンのような複雑な形状でも物理演算が可能に
- ライブラリオーバライドシステム。→リンクしたオブジェクトにトランスフォームを適用可能。リンク元の形状変更があった場合、再同期できます。
- BSDFシェーダーに放射の強さパラメーターが追加
- 検索であいまい検索が可能に
すべての機能追加や変更はBlender wikiのリリースノートに詳しく記載されています。