Blender2.93の正式版が6/2にリリースされました。この記事では新機能の使い方や解説をしています。
Blender2.93はLTS(長期サポート)版で2.83と同じく2年間サポートが継続されます。次期バージョンは3.00で8月25日リリース予定です。
Blender2.93の注意点
主に操作の変わる部分についての注意点を書きます。
ウエイトペイントの対称化オプションの変更
「頂点グループをミラー反転」(接尾に.R/.Lの付いた頂点グループ同士で反転ペイント)と「対称ペイント」(同一の頂点グループ内で指定した軸の対称ペイント)が排他的になり、誤操作しにくくなりました。
ボーンの座標軸表示がテールからヘッドに変更
先端(テール)から根本のほう(ヘッド)にデフォルトで変更になってます。
オブジェクトデータプロパティのビューポート表示から座標軸「位置」で変更ができます。
グリースペンシルの自動キー挿入がデフォルトで有効に
2Dテンプレートでは、デフォルトで自動キー挿入ボタンが有効になっています。
その代わり、ドロー/編集/スカルプトをした場合、自動キー挿入ボタンが無効の場合はキーが生成されなくなりました(2.93以前は自動キー挿入ボタンが無効でも生成されていました)。自動キー挿入ボタンが無効の場合は、最後に利用可能なフレームが使用されます。
Blender2.93の新機能
ジオメトリノードに多数追加
ジオメトリーノードに22個のノードが追加されました。プリミティブと属性のノードが増え、本格的なプロシージャルモデリングが可能になりました。
スプラッシュスクリーンのデモファイルがダウンロードできます。
Felipe Del RioさんのProcedural buildingsのデモも必見。
スプレッドシートエディタの追加
エディタタイプにスプレッドシートが追加されました。
メッシュの頂点位置やウエイト値、法線やポイントクラウドの属性などが表として表示できます。
いまのところシートを直接編集できないですが、編集できるようになったら便利そうです。
カーブのテーパーコントロール
カーブの幅を指定した別のカーブで広げたり狭めたりのコントロールができるようになりました。板状の髪を作るときに便利。
- Shift+Aでカーブ→ベジエを作成。
- 1.を繰り返し、調整用のカーブも作る
- 幅を調整したいほうのカーブをオブジェクトプロパティ→ジオメトリ→押し出しで幅を設定する
- ジオメトリ→テーパーオブジェクトで調整用カーブを指定
- テンキー7(もしくは@→上)で上からの視点に変える。
- Y軸が幅、X軸が適用位置になる。Y軸がマイナスになるとねじれる
UIの変更
アウトライナーでレンダリングの可視性アイコンが追加
アウトライナーから直接レンダリングで表示するかどうかをオン/オフするアイコンが追加されました。カメラのアイコンをクリックするとオン/オフ切り替えできます。
言語設定に関わらず日本語入力が可能に
言語設定が英語の場合でも日本語の入力が可能になりました。
FモディファイアUIの変更
グラフエディタのFカーブモディファイアのUIが変更されました。整理されて統一感のある見た目になりました。
スカルプトの新機能
マスク機能の強化
マスクのオプションが増えました。Shift+Aでトポロジーでマスクの拡大機能後、画面下部のバーに操作一覧がでます。Wキーでループ、Gキーでグラデーションなど。
別オブジェクトのスカルプト切り替え
スカルプトモード中にスカルプトしたい別オブジェクトがある場合はマウスカーソルを載せてDキーを押すと、そのオブジェクトのスカルプトができるようになりました。
グリースペンシルの新機能
フィル(塗りつぶし)ツールの改善
- 塗りつぶし速度の向上
- 塗りつぶしのアウトライン検出精度の改善
- ビューポート外の領域を塗りつぶす「AutoFit」オプションを新たに追加しました。有効にすると、塗りつぶし領域に合わせてフレームの合計サイズが計算されます。
- マルチフレームでのフィルを新たにサポートしました。複数の類似したフレームを一度に塗りつぶすことができるようになりました。
- 一時的に閉じたストロークを作成するためにトップバーの詳細設定に「ストローク延長オプション」が追加されました。これらのストロークは、ホイールマウスやPageUp/Downキーを使って動的に表示・調整できます。正確な調整にはホイール+シフトキーを使用してください。
- 「解像度」パラメータが「精度」という名前になり、トップバーに移動しました。1以下の小数点まで設定ができるようになりました。
- 「簡略化」パラメータは「詳細設定」パネルに移動しました
- 塗りつぶし領域が閉じていない場合は、塗りつぶしはキャンセルされるようになりまし
- 無限ループに関するいくつかのバグを修正しました。
補完ツールの改善
異なるポイント数のストロークを補間するための変更に伴い、補間ツールの全面的な見直しが行われました。
- 補間ツールはオペレーター(メニューから削除)ではなくツールになりました。
- 補間ツールのパラメーターがトップバーに移動しました。
- Interpolate popoverはトップバーから削除され、Interpolate Sequence operatorはグリースペンシルメニューに移動しました。
- シーケンスの補間にやり直しパネルが追加されました。
- 補間ツールでストロークをペアで選択できるようになりました。これにより、任意のストロークを任意のストロークで補間できるようになり、以前は描画順でしか補間できませんでした。ストロークが選択されていない場合、補間は以前のように行われます。
- 前のキーフレームが存在する場合、再び補間することができるようになりました。以前は、同じフレームで2回補間することはできず、フレームのグループで補間することはできませんでした。
- 最初のストロークと最後のストロークの方向が異なっていて正しい位置にない場合、ストロークを反転させる新しい自動オプションが追加されました。また、コーナーケースでは手動で反転を設定することもできます。
- 補間に関連するメニューを整理
- いくつかのバグを修正し、シーンからパラメータを削除
- いくつかのコードを整理し、関数名を変更
SVGとPDF出力に対応
グリースペンシルオブジェクトをSVGはインポートとエクスポートに対応、PDFはエクスポートのみ対応しました。ベクターデータなのでIllustratorやInkscapeで編集できます。
ラインアートモディファイアーの追加
指定したオブジェクトの線抽出ができます。オブジェクトのモディファイアーではなくグリースペンシルオブジェクトのモディファイアーにあります。(Shift+A→グリースペンシルのエンプティやストロークを出して、それのモディファイアーを設定する)
ソースタイプとその下の対象を選択し、ターゲットレイヤーとターゲットマテリアルを指定します。
ラインアートモディファイアーの付いてるグリースペンシルを選択して、オブジェクトプロパティ→ビューポート表示を「最前面」にチェックを入れると表示がきれいになります。
EEVEEの新機能
被写体深度の改善
EEVEEの被写体深度(Depth of Field)がフルスクラッチで書き直され、パフォーマンスとクオリティが向上しました。特に手前側のボケがきれいになりました。
ボリュメトリックフォグのシャドウやライトの改善
光源の係数設定が可能に
EEVEEで光源のディフューズ、スペキュラー、ボリュームへの影響を係数を設定できるようになりました。
その他EEVEEの変更点
- ボリュームのちらつき低減
- アンビエントオクルージョンの可変距離設定
- グラスBSDFの改善
- 光漏れの低減
- 法線マップの修正
- サブサーフェススキャッタリングの改善
- スクリーン空間のレイトレーシングにおけるノイズの低減
- 光沢のある表面でのフレネルをCyclesの品質に近づける
- 反射キューブマッププローブの改善
その他の更新
- プロポーショナル編集で接続されたメッシュの移動がより正確になめらかになりました
- サブディビジョンサーフェスのUVスムーズのオプションが増えました
- ミラーモディファイアで二等分オプション追加
- プロパティの右クリックからフルデータパスの取得が可能に。アドオン開発などに便利
- インテルのオープンデノイズがバージョンアップして少ないサンプル数でよりシャープに
などなど、多数の機能の追加や修正があります。
すべての変更点はより詳細なリリースノートを参考にしてください。