Blender2.90の正式版が本日9/1にリリースされました。長期サポート版である2.83の更新と違って、2.90は新機能がたくさんあります。上記の1分動画で概要は掴めます。
Blender2.90の注意点
UIがいくつか変更されているので戸惑いそうな部分を取り上げます。
モディファイアーのUI変更
モディファイアーのUIが変更が加わり「適用」「コピー」「移動」ボタンが廃止され、メニューへまとめられました。
モディファイアの移動は右端の点々をドラッグすることで移動できます。
3Dビューポートに統計情報を表示する
Viewport Overlaysから「Statistics」を有効にすることで統計情報が表示できます。
バージョン2.83までは画面最下部にあるステータスバー左下に統計情報が表示されていましたが、2.90ではデフォルトで非表示になりました。ステータスバーを右クリックして表示設定の有効/無効化ができます。
Blender2.90の新機能
気になった新機能をいくつかピックアップします。
Blender2.90のダウンロードページで機能の解説があります。さらに詳しくはテキストベースのリリースノート(英語)をお読みください。
自動調整押出し
押し出し機能に新しく「多様体を押し出し(Extrude Manifold)」が追加されました。これは内側に押し出す際に隣接する面を自動的に分割と除去を行います。
ショートカットのEキー(Extrude)による通常の押出しでも、左下オプションの「直行する辺を溶解」にチェックを入れることで機能します。
自動調整UV
通常は移動や押出しするとUVが伸縮しますが、この機能を使うとUVが自動的に調整されます。
自動調整UVを使用するにはエディットモードでプロパティ(Nキー)からツール→オプション→「面の属性を修正(Correct Face Attribute)」にチェックを入れます。
大気テクスチャに新しくNisitaが追加
Cyclesの大気テクスチャに新しくNishitaが追加されました。太陽の位置や角度だけでなく、空気抵抗やちりやオゾンなどのパラメーターの調整ができます。
ビューポートデノイズにOpenImageDenoiseが追加
Cyclesのレンダープレビュー時のデノイズ機能にCPUベースのAIノイズ除去であるIntel OpenImageDenoiseが追加されました。以前からコンポジットにありましたが、ビューポート上でも同等の品質が得られます。
使用方法
RenderEngineがCyclesの状態で、レンダープロパティ→サンプリング→デノイズ→ビューポートにチェックを入れ、OpenImageDenoiseを選ぶ。
nVidia製GPUを使っていてOptixのデノイズが選べる場合はそちらのほうが早いかも。
ローポリでの影アーティファクト除去
Cyclesのレンダリングでローポリゴン時に面に沿って影が出てしまうケースがあります。
これは影の終端をずらすことで解決することができます。
オブジェクトプロパティ→シェーディング→影の終端オフセットの数値を調整します。ただし影の位置がずれるので物理的には正しくないです。
クロスフィルター
スカルプトモードで布の物理演算シミュレーションをメッシュ全体に適用できます。
CyclesでのCPUレイトレーシングのパフォーマンス向上
CPUのレイトレーシングにIntel Embreeが採用されるようになりました。これにより、モーションブラーのあるシーンでのCyclesのパフォーマンスが大幅に向上します。形状が複雑なシーンでも恩恵を受けます。
マルチレゾリューションモディファイアー
マルチレゾリューションモディファイアーはZBrushのように複数の分割レベルを持つことができる細分化モディファイアーです。
すでに細分化されたメッシュを細分化前の状態に戻す「細分化の復元」が実装されました。
また、細分化方法の種類が増え、従来通りの細分化(スムース)に加え、シンプル、リニアでの分割が追加されました。
ベベルの改善
ベベルツールとベベルモディファイア両方とも改善されました。
- 幅のタイプで「絶対(Absolute)」が選べます。
- ベベルの部分のUVやマテリアルの割当ての挙動を改善されました。
- ベベルの断面のタイプを「カスタム」にすることで、ベジェ曲線を使って自由に形状を変えられます。
分割しても法線維持できるカスタム分割法線
「カスタム分割法線データを追加」することで、分割しても法線を維持することができます。
- オブジェクトプロパティ→ノーマル→「自動スムーズ」を有効にする。
- 形状データ→「カスタム分割法線データを追加」する。
- そのあと分割を行う。
その他の新機能
- CUDAとOptiXのNVLinkサポート。Cyclesのデバイス環境設定で有効にすると、NVLinkブリッジで接続されたGPUがメモリを共有できます。
- ポーズブラシの変形に「回転/ツイスト」以外に「スケール/移動」「スカッシュ/ストレッチ」が追加されます。
- 海洋モディファイアがスプレー方向のマップを生成するようになりました。
- OpenVDBの流体キャッシュ:煙と液体のデータは、フレームごとに1つの.vdbキャッシュファイルにキャッシュされます。
- クロスの圧力設定:中身の詰まったものの圧力シミュレーションが可能に(?)
- NUKE DISTORTION:新しいレンズ歪みモデルでNukeやNatronでコンポジットを行うことを可能にします。
- その他多数の新機能や改善